やりたいことをやる人生と、やりたいことをやらないままでいる人生、どっちの人生を生きたいですか?
こんな風に聞かれたら、誰もがそりゃあ、やりたいことをやる人生って答えますよね。

でも、そんなことわかっていながらも、「やりたいことをやる人生」に進まない。進めない。

それって、「自分はまだ死なない」って頭の中で考えているから、ですよね。

人はいつか死ぬとわかっているけれど、「今は」死なないと誰もが思っている。(というか、かくいう私だって、明日も明後日も当然生きているって前提で行動している気がします。)
でも、普段から死ぬことを意識していないために、人は、本当に大事なことを後回しにしている気もします。

余命を宣告されることで、人は気づきが与えられると言われますが、今生きている人生を後悔しないために「死を想う」こと、あたり前の生活が二度とできなくなった時のこと、当たり前が当たり前じゃなくなった時のことを考えてみることはとても大事です。

ということで、今回のテーマ「自分では気づけない、本当に自分のやりたいこと」については、「メメントモリ(死を想う)」ことで自分の中にある心の声を探ってみました。

みちみち会では、3時間の中でワークを何回か行いながらテーマを深掘りしていきます。
その時のベースは「傾聴」です。

傾聴では、ただ相手の話を遮らることなく、最後までじっくり聞くだけ。
気の利いたことなんて言わなくていいんです。的確なアドバイスをする必要なんて、全くないんです。
相手の心の中にある、バラバラでまとまりない考えを、出てくるままに受け止めるだけ。

ただ、その傾聴をベースに対話を続けていくと、相手の心の中にある深い本音、思ってもいなかったようなこと、思いつきもしなかったことが心から湧き上がって出てくるんです。その「気づき」によって、本当にやりたかったことが自然に開けていくんです。

ここで、参加された方が8分の間しっかり話を聞いてもらった「傾聴」を通じて気づいたことをご紹介しておきます。
(テーマを深掘りした上での気づきは、参加したメンバーのためのものですので、ここにはあえて挙げません)

>>8分間、ずっと、考えもまとまらないままに、今悩んでいることについて話した。話に横槍を入れられたり、途切らせられることなく聞いてもらえたことで、自然に自分の頭が整理されていった。最後には「これから自分がすべきことは、なんとなくこういうことかなぁ?」と思っていた時に、自分が考えた通りのことをフィードバックしてもらって、「やっぱりそうなんだ!」と納得することができた。自分はもやもや考えていたことを話すだけ、ただ聞いてもらうだけのわずか8分で、こんなに考えが整理されるんだと思った。

>>聞いてもらって、フィードバックしてもらった結果、自分が今、思うようにいかないと思っていることは、実は自分のスキルや対処法を磨き深めるための必要な学びであり、自分の引き出しを増やすための機会となっているのかもしれないと気づくことができた。これは新しい視点だった。

>>親と自分の関係性の間に自分の「思い込み」があることに気づいた。親の望む「いい子」であらねばという呪縛があって、親への恩返しは「〜〜することだ」と勝手に思い込んでいる自分がいる。一方で、親がどう言ったとしても自分はこう生きるのだと言い切れない自分がいることにも気づいた。全部話して、全部聞いてもらって、怒りのエネルギーが自分の中にあることにも気づいた。

こんな大事な気づきが、わずか8分間、相手に真剣に聞いてもらうだけで得られるんですよ。特別なアドバイスをする必要はなくて、ただ相手の話を聞くだけで、こんなに深い気づきが起こるって、すごいことだと思いませんか?
相手の役に立つためには何か気の利いたことを言わなくてはならないというのはただの幻想で、しっかり相手の話を受け止めるだけで良いんです。同時に、自分の可能性を引き出すためには、ただ自分の本当の気持ちに気づくことなんだとも思います。

ちなみに今回のテーマの話に戻りますが、「死を想う」ようなことは、健やかなときにこそ行うことが大事です。
だって、本当に大変な状況の時には気が滅入って向き合うことは難しいし、何よりつらいですから。
元気な時に考えるからこそ、「死」は「生」を充実させるためのスイッチとなるんですよね。

最後に、みちみち会の最初の頃から継続して参加してくださっている方が、
ご主人に「みちみち会のおかげで本当に変わった。今日も楽しんで行ってらっしゃい。」と言われて送り出されてきましたと、とても嬉しいことをおっしゃってくださいました。

その方は、何か悩みがある時に一人で考えていると行き詰ってしまうけど、安心して心を開ける場で聞いてもらったり、テーマについてみんなで考える時間のおかげで、必要な気づきが自然に得られる。みんながシェアしてくれることの中に、自分にとっての大事なヒントや気づきがある。
と。
同時に、彼女と傾聴ペアになった人は、その方のことを

困難な問題がある中でも、「この状況をどうしたら良いのか」「もしかしたら、こうしたらいいかも?」と考えている。その様子はとても輝いていて、むしろ楽しそうにさえ見える。以前とはスタンスが根本から変わってきているし、その流れに乗っている感じがとても伝わってくる。

と言っておられました。スタンスの変化が、可能性を広げる方向へ向かっているって、本当に素敵です。

来月のテーマは「心の休め方」。日時は、10月6日@東京ハウス、12日@910です。
皆さんとみちみちる時間を楽しみにしています。

傾聴の学び舎(みちみち会)