3月4日土曜日、第2回目となる「ゆるハイク」を開催しました。

どこかへ出かけて俳句を作ることを「吟行」と言い、人が集まってお互いの句を読み選び合うことを「句会」と呼ぶそうですが、今回は初春の由比ケ浜@鎌倉が舞台。

前回は秋の神武寺@逗子が舞台でしたが、海と山の両方を気楽に満喫できるのが逗子鎌倉の良いところです。


江ノ電の長谷駅で集合、自己紹介と海芋さんからの簡単なレクチャーの後、長谷駅から歩いて2分のところにある収玄寺へ向かいます。いつ行っても四季折々の花や野草が楽しめる収玄寺はそこかしこに「春の季語」があふれています。

このゆるハイクでは、海芋さんがこの会のために特別に作ってくださる「手引き」が用意されていまして、俳句初心者でもスムーズに俳句の世界に入っていける様に、俳句の基本のパターン、この時期に相応しい季語、困った時に頼りになるヒントなどが盛り込まれているのですが。

「ものの芽」もこの季節の季語だとか。

(以後、いくつかの春の季語をピンク色で挙げておきます)

そして、駅に向かう途中に覗いたシラス直売店には、たくさんのヒジキやアカモクの「わかめ」が並んでいました。たしかに、生わかめの湯通しを頂く時って、春を感じますものね。

 

海に出ると風が強く、のんびりお散歩という感じにはならなかったものの、たなびく雲の感じも空の広さを感じさせて気持ちよい。

「春寒」

「春の海」「春の空」「春の雲」

「強東風(つよごち。東風=春風のこと)」

そして、盛大に風になびくワカメを見てリアルに「春の若布」を実感。

「若布干す(わかめほす)」

青いピンチが印象深く、海辺でわかめが風に揺れる様子を句に詠み込んだ人も多かったです。

穏やかに干されている様ですが、実はこんな状態。笑。

 

 

 

思い思いに浜辺を散歩して「桜貝」を拾う人も。

「若布刈舟(めかりぶね)」

 

 

 

街角のの香りに感激しながら、句会の会場となる「FIESTA」2階へ。

 

ここからは一気に句作りに入ります。

お店に着くまでにどの風景を切り取るか、どの部分を17音に凝縮させて表現しようか各自考えながら歩くのですが、いざ席につくと、これが結構まとまらないのですよね。

俳句では、いっぱい目に入ったものから取捨選択をする事を「多作多捨」と言い、捨てないと上手くならないそうですが、捨てるって難しい!あれもこれも言いたい所を絞り込み言葉を削るためには、捨てるチカラや選び取る勇気が必要なんですねぇ。

・・・とまぁ、腹が減っては戦もできませんので、小腹も空く時間、春の日差しがやわらかい場所でFIESTAスペシャルの軽食(アボガドブリトー、ポピーシードケーキ、お飲物)を頂いたりして。

もうそれだけで十分満足なんですが、句会があってこその俳句作り。

 

 

みなさんが一生懸命な時間にお一人だけ余裕でカメラ目線な方もいらっしゃいますが。。。笑。

 

 

でもこの方、季節感ばっちりの桜餅(わざわざ「赤坂 青野」さんから)を差し入れて下さったナイスミドル。

 

 

さて、俳句は世界中にある「詩」の一つではありますが、人が集まって読み合い、点をつけるのは俳句だけ。

なぜなら、「17音」という短い言葉で伝えたい事を人にわからせるのはそもそも難しいものであるということ。

人に読まれても伝わらないと意味がないという客観視がある上で、他者に詠まれてこそ初めて俳句は完成するのだそうです。

一人で句を作り、「いい句が出来た」と自分だけで自己満足していることは俳句とは呼ばれないのですね。

というのも、今回、海芋さんが新たに配って下さった「おまけのおはなし」には「俳句の挨拶」について書かれてありました。

そもそも江戸時代当時の俳諧とは、プロの俳諧師を中心に複数の人が集まって一つの作品を作る「連歌」の形式で、俳諧師が皆への挨拶として最初の五七五(発句)を詠み、その後に七七(脇句)、また五七五、七七と続けていくものだったそうです。 この「発句」が独立したものが「俳句」の始まり。

こう考えると、俳句はお互いのやり取りがあって初めて成り立つ「挨拶」が原点にあるということ。

確かに確かに、

「こんにちは。やっと春がきましたね」

「えぇ、本当に。辻の梅が見事に咲いてきましたね」

のような時候の挨拶が日常のコミュニケーションとすると、互いのやり取りがあってこそ成立すること(双方向性)や、自然の移り変わりに季節を感じ(季語)、感謝する気持ちを持つことは俳句の基本であり、日本人だからこその文化なのだと納得しました。

日常の何気ない風景を17音に表現する事は、思っていた以上に奥深い自然への敬畏とお互いの存在への感謝がこめられていると教えて頂いた回でしたね。

ちなみに、私が書いた一句はコレ

↓ ↓ ↓

古草や頭寄せ合いゆるハイク」

道の古草(古草も春の季語だそうで!)を妙齢になった自分たちに見立てて笑いあった情景を詠みました。

後から思い出してくすっと笑える様にと詠んだのですが、これは奇しくも今回の参加メンバーに向けた挨拶句になっている、とのことでした。私としては、この日をほんわかと思い起こさせる気持ちになる様な、わかりやすい句になっていれば満足と思ったのですが、見事に共鳴しましたね。

さてさて、参加されたメンバーが参加できるFacebookグループ「ゆるハイク談話室」では、今回の新メンバーも加わり、日々の風景や出来事を俳句に詠み、互いに詠み合うゆるやかなやり取りが始まっています。

次回の開催はまだ決まっておりませんが、ご興味のある方は是非次の会にお越し下さいませ。