普段から、物音や人の話を耳という感覚器官で捉える「聞く」ではなく、物事の本質や相手の気持ちを心で繋がろうとする「聞く(聴く)」ことを大事にしています。
なぜなら、心で相手と繋がるとき、それはとても豊かなものを私にもたらしてくれるから。相手も豊かな気持ちになるから。
疎かになることもありますが、「聞く(聴く)」ということには敏感でありたいとも思っています。
そんな折、私の友人から麻布十番にある「香雅堂」さんを紹介されまして。
ここは、日常生活にスマートにお香を取り入れる楽しみ方を見せてくれるとても素敵なお店でした。
そこで耳にした「香道」という世界。
「道」とつくからには、それは奥の深い世界。お作法ややり方も決まっている難しい世界。。。と思ったものの、思えばお香も「聞く」って言うよね。なれば、まずは体験してみないと!と、傾聴を共に学び合う「みちみち会」のメンバーを誘って香雅堂さんの体験香席に申し込んでみました。
申し込んだ夜の部は18時半スタート。
香雅堂さんの2階にある洋室で代表の山田悠介さんから簡単な座学の後、隣りの和室に移動。ドキドキ。
和室では、いただいた席札の順番通りに座ります。正座が大丈夫かなと気がかりでしたが、小さな折り畳み座椅子が用意されていてひと安心。
香道にもいろいろあるのだと思いますが、組香は香りを聞く(嗅ぐ)をお遊びにした「香り当てゲーム」のようなもの。
1月の香席は、新年にふさわしい「松・竹・梅」三種類の香りの観賞と聞き分け。
流れは、
1、試香の三種類(松、竹、梅)の香りを聞き、観賞しながら覚える。
2、本香として順不同で回ってくる三種を聞き、試香を聞いた記憶と照らして答えを記紙(記録紙)に書く。
3、みんなの記紙が、一枚の大きな和紙に転記される。
4、正解が発表され、当たり外れを確認する。今回は正解だった人のところには「叶」の一文字が書かれ、(ささやかに)一喜一憂するw
とにかくお道具が可愛らしくて!
丁寧に磨かれた火箸や挟み、香炉。
香木を乗せる金銀の和紙や菊の形にかたどられた貝の台座などなど。。。。
その昔子供の頃のおままごとを思い出させて、女子には「萌え」ポイントがたくさん♪
こちらは「香十徳」という香についての10の効能について書かれてある掛け軸。
心を豊かに、人生を味わい深くするために香はすばらしい効能を発揮するということが、わずか40文字で簡潔に書かれてありました。
さて。実際に香席を体験し、お香を聞いてみて、どうだったかと言うと。。。。
香りを嗅ぎながら全身の細胞で味わい、その香りが、自分が持つ記憶のどんな部分を呼び起こすのか、自分の身体のどこに響くかを感じること。
人への傾聴では、心を集中させて相手に近づき、相手からの本質的なメッセージを掴み取ろうとします。
集中して心を無にしながら相手(香木の香り)と一体になる香道は、相手に集中する傾聴に繋がるあり方に似ていたとも思います。
さらに、香道では、繋がった後に香木が持つ豊かな香りがこちらに残りました。
それは、人の話をじっくり聴いて受け取められたときの豊かさにも通じるようでした。
「聞く」ってこういうことなんだと、五感(嗅覚)でもわずかながら少し体感できた様にも思います。
ちなみに、香雅堂の悠介さん曰く、和の香りの世界において香りを聞くと表現するのは、「香木が話す、親密な内緒話を聞かせてもらっている様だから」と。
香炉を覆う様に限りなく自分を香木に近づける様子って、確かに内緒話っぽい。
内緒話。それもまたいいですね♪
とにかく、とても楽しかったです。みなさんも、是非。