去年に引き続き、今年もエーゲ海をヨットでセーリングしながら3週間近くの日々を過ごしてきました。

1年のうち半分を、ヨットセーリングしながら地中海の島々を巡りながら過ごすという夢のような暮らし。そんなスケールの大きい冒険旅をかれこれ15年も続けていらっしゃるご夫婦と共に「ヨット×旅×暮らし」を体験する日々。
それはもう、何もかもが素晴らしかったです。

帰国して1週間。
クリスタルブルーの海の色、セーリング中の静かな波音、人生の大先輩であるお二人との会話、次に行く島に想いを馳せる時の胸の高まり・・・。
何もかもが恋しいですが、あの暮らしの中で恋しいものの一つに挙げられるのは「ハッピーアワー」でしょうか。

ハッピーアワーと言えば、通常、明るいうちから飲み始めるための飲食店の割引サービスですが、
船では、本格的な夕飯前に、絞ったレモンとトニックウォーターでビールをアレンジしたカクテルを飲み、簡単な前菜で小腹を満たしながら軽く一息つく、そんな時間をハッピーアワーと呼んで楽しんでいました。

ギリシャの日の入りは20時半ごろ。21時ごろにやっと真っ暗になって、ようやく夕飯が始まるので、ハッピーアワーは19時過ぎからかな。

海と空が淡いピンクとブルーのパステルカラーに染まり、境界線がだんだんあいまいになって一つになっていく感じ。
日が暮れ始めると同時に一番星が見え始め、だんだんほかの星も瞬き始め、見えなかったものが見え始め、今まで見えていたものがだんだん見えなくなっていく。
そんな光景をぼんやり眺めながら今日も無事に終わってホッとする、そのありがたさと一抹の寂しさと共に、今日という日を振りかえる。

昼間は日差しが強すぎるし夜は闇が深すぎて、その中で起きている変化はほとんど感じられないけれど、夕暮れ時を味わっているとすべては連続性の中にあって変化はグラデーションなんだということがしみじみと感じられてきます。

夕暮れ時は、昼がだんだん夜になっていく“あわい”の時間。
ほんとうに、一日で一番素敵な時間でした。

「丁寧な暮らし」という言葉がありますが、それは“あわい”の時間と共にいながら微細な変化を感じ続ける暮らし方なのかもしれないですねぇ。

逆に、気がついたら昼が夜になっている、“あわい”が飛ばされているような慌ただしい日々を生きていると、感じる力は確実に弱まっていく気がします。

ハッピーアワー。
自分の生活の中に組みこんでおきたいと強く思う時間帯になりました。

これから迎える夏休み、ちょっとだけ夕暮れ時を味わうハッピーアワーを持ってみるのもいいかもしれませんね。

みなさんはどんなハッピーアワーの過ごし方をしてみたいと思いますか?

よい夏休みを♪

セサロニキの港にて。 ここからは毎日夕焼けが真っ赤に見えたのですが、若者たちやカップルがこの場で思い思いの時間を過ごしていたのが印象的です。