星山での一日道場の後に待っていた計2回の“オンライン道場”。最も印象に残ったのは、傾聴の際の「集中と俯瞰」ということでした。

オンライン道場でも、ペアを組んで傾聴します。2回目のオンライン道場では、前回のペア傾聴の動画をみんなで観て、改めて、聴き手が伝え返しをしたり、お互いに印象を話す場がもうけられました。

二度目の聴き手として、 “あぁそうだった”と思い出しながら耳を傾けていると……何でしょう! 話し手さんの目元や口元のニュアンス、パッと表情が変わる瞬間、大きく前に乗り出したり、揺れたりする身体……そんなライブな様子が目に入ってきて、話し手さんの気持ち・感情が、沁み込むように伝わってくるんです! 

そんな感想を述べたところ、「傾聴には『集中と俯瞰』の両方が大切なんでしょうね」、とここのさんがコメントしたのです。

思えば、1回目のオンライン傾聴では、画面の向こうの話し手さんの顔をひたすら凝視していました。相手の話を一生懸命聴こう聴こうと、“集中過多”だったかもしれません。

そして2回目。話し手と聴き手、双方が横並びに映る動画を見ながら聴いていきます。

 “前回、聴き終えて‘楽しそう’と感じたけど、目元が緩んで、口角が上がってる!もうすでに、わくわく楽しそうな気持ちが伝わってくるなぁ〜!”

“そのものずばりの感情を表すような言葉は発していないけど、思いっきり言外に漏れ伝わってるよ!!”

……と、話し手さんを丸ごと観て、聴いて、感じられていることに気づいたのです。

耳を傾け一心に聴く「集中」だけではなく、相手全体をふんわりと視界に入れ、 “聞こえてくる”ものも拾っていく「俯瞰」により、こんなに豊かに話し手さんの感情が沁みてくるんだ!! という驚きを味わいました。

「集中と俯瞰」。

リアルに対面しての傾聴なら、相手のまとう空気も感じながら、ある程度自然に、無意識に行っていることかもしれません。でもそれが伝わりにくく、集中に傾きやすいオンライン傾聴を2回重ねたからこそ、「俯瞰」の大切さ、それによって傾聴がより深くなることを体感・理解できました。

“伝え返し”の内容は、話し手の感情の当てっこじゃない(繰り返し、あきらさん・ここのさんが教えてくれることです)。聴いて感じたことをそのまま返してあげれば、「そうそう!」「いやちょっと違って……」「そういえば……」と相手の心の扉がまた開く。感情を解放して、なぜかお互いにすっきりする。傾聴って面白い!

オンライン道場を経て、以前よりも、ゆったりと構えて、相手が体現する・醸し出すものをまるごと受け入れる感じで聴くように変化してきたかな……? と感じています。

聴くときの心とともにある基本の姿勢や呼吸、型みたいなもの、それらを合わせて確認し稽古できる「聴く力道場」。じんわりとした発見と感動がありました。

ここのさん、あきらさん、ご一緒したみなさん、ありがとうございました。